スピード感あふれる試合展開、華麗なプレーの数々、そして感動的なドラマ。野球には私たちを魅了する要素が詰まっています。その一瞬一瞬を写真に収めたい、と考える方も多いのではないでしょうか。
野球写真の魅力は、何と言っても迫力のあるプレーシーン。豪快なスイング、ダイナミックな守備、ベースを駆け抜けるスピード感…こういった瞬間を写真で残すことは、その一瞬の感動を永遠に再現することができる魅力があります。
撮影する題材としても魅力の「野球」ですが、野球撮影では「レンズ」の選定が非常に重要。なぜなら、広大なグラウンド上で俊敏に動く被写体(選手)を一瞬でとらえる必要があり、これは人物やスナップ撮影などで使われる、よくYouTuberさんが「全員におすすめ!」などとレビューしているようなレンズでは正直ムリです。
皆さんが今まで見てきた野球の写真で「かっこいい」「感動的」と感じた写真にはきっと、選手の感情むき出しの表情や、飛び散る汗など、その瞬間の詳細な部分まで描かれていたものばかりだったはずです。(いくら感動的な瞬間でも、そのプレーに関わった選手が米粒程度の大きさでしか写ってなかったら、感動は薄れてしまいますよね。)
このように、野球の感動を1枚の写真に収めるには、そのシーンにあったレンズ選びが重要になります。そこで今回は、多くの方に野球撮影の魅力を体感してもらうために、野球撮影におすすめのカメラレンズの選び方を紹介します。
この記事を書いている私木村は、少年野球の撮影現場を中心に活動しているスポーツカメラマンです。野球の撮影初心者の方にとって参考になると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
スポーツフォトグラファー。少年野球の
現場を中心に、子どもたちの“スポーツを
楽しむ姿”を記録する事業を展開中。
当ブログを運営する、スポーツ写真・
映像制作チーム「Highlight LABO.」の代表。
最近の楽しみはカメラ教室の生徒さんと
カメラを語ること。
インスタでも撮影の知識を発信中です!
下のマークをタップして遊びにきてね♪
[本題の前に]レンズ選びの基礎
野球撮影向けレンズの話の前に、まずは一眼カメラレンズを選ぶ時にチェックするポイントを確認しましょう。
レンズ探しの基本ポイント、一般的には
① 焦点距離
② F値
③ 手ブレ補正の有無
がチェックするポイントとして挙げられます。
まず、① 焦点距離はこのレンズの写せる範囲がどれくらいか、を示す数字で、レンズ本体・レンズの商品名に「50mm」「70-200mm」といった形で書かれています。
この焦点距離の数字が大きいほど、遠くの被写体をアップで撮れます。
反対に、焦点距離が小さいレンズは、広範囲を1枚の写真に写しやすいです。
レンズを探すときは、風景や人物を撮りたい場合は24mm〜80mmくらい、スポーツや野鳥、鉄道などを撮りたい場合は200mm〜400mmくらいを軸に探すのが基本になりますね。
焦点距離については↓こちらの記事で分かりやすく解説しているので参考に。(画像をタップすると読めます)
続いて、② F値について。
F値は、非常にシンプルにいうと、このレンズがどれだけ薄暗いところでも綺麗に写真を撮れるかを示す数字です。「F2.8」や「 F5.6-6.3」といった感じで表記されていて、この「F」の後の数字が小さいほど、薄暗いところでの撮影に強いレンズ、ということになります。
夕暮れやナイターでの撮影をしたいなら、F値が小さいレンズが望ましいですね。
またF値が小さいと、明るさ以外に、「ボケ感」のある写真を撮りやすくなります。
背景がぼやーっとした、いかにも一眼で撮ったんだろなーって写真、皆さんも見たことありますよね?このボケ感を調整する要素の1つでもあるのが、このF値です。
F値についても別の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
そして、③ 手ブレ補正の有無。
撮る瞬間に手ブレして撮影を失敗してしまうのを防いでくれます。ブレブレの写真になるリスクを防いでくれるので、あると嬉しい機能ですね。
この3つのポイントに注目しながら、実際にそのレンズを使った人のYouTubeレビュー動画、レビューブログを見て調べる。自分に合ったレンズ探しという作業は大体こんな感じです。
では、本題の「野球撮影に合ったレンズ探し」についてですが
野球に合ったレンズをを探すときはこんな感じです。
[本題]野球撮影レンズを選ぶポイント
一般的なレンズ探しのときにチェックする3つのポイントは分かりましたね。
では、「野球撮影に最適なレンズ」は、① 焦点距離 ② F値 ③ 手ブレ補正の有無 この3つはどのように見れば良いのでしょうか?
結論!この表の通りです。
ポイント | 重要度 | 適正範囲 |
---|---|---|
① 焦点距離 | 大 | 400mm以上 ( 600mm以上あるとより良い) |
② F 値 | 中 | 日中撮影メインならF5.0〜6.3程度でOK (夕暮れ・ナイターで撮るならF4以下) |
③ 手ブレ補正 の有無 | 低 | 基本いらない |
まず、一番重要なのが① 焦点距離。どんなに解像度の高い写真を撮れるレンズでも、選手のプレーヤ表情に寄れないレンズでは意味がありません。野球の臨場感を写真に残したいなら、焦点距離が大きいレンズ、具体的には400mm以上のものを使いましょう。外野の選手のプレーまでしっかり撮りたいなら、大型のレンズになりますが600mm以上のレンズを選びましょう。
② F値 はそこまで重要ではありません。少年野球などのアマチュア野球は基本的に日中の明るい時間に行われるので、晴れている日であれば明るさが足りないということはあまり無いです。曇りの日に関しても、カメラ側の設定で対応できるでしょう。
問題は、プロ野球などナイターでの撮影をしたい場合。この場合は、F値の重要度は日中の撮影時より高くなります。ナイターは照明が点灯するとはいえ、夜の屋外なので光の量が不足します。光の量が不足すると、写真に「ノイズ」がのってしまい綺麗な写真が撮れないんですね。
F4.0以下のレンズであればナイターでは有利ですが、それ以上のF値でも写真は撮れるので大丈夫。そもそも、400mm以上の焦点距離のレンズでF値が低いものは基本的にプロ仕様レンズになるので価格が100万円前後〜になります。
いきなりそんなレンズに手を出すのは危険なのでやめましょう。使いこなすのが大変なので(笑)。
また、「ボケ感出したいからF値低いヤツがいいー!」って方もいると思うのですが、野球撮影において、ボケ感は撮る人の撮り方次第で出すことができます。この点も含めて、F値はあまりこだわらなくてOKです。
ちなみに、ボケ感を出す撮り方も含め、“野球撮影のテクニック”を勉強してみたい!そんな方は、スポーツ撮影専門の写真教室があるのでぜひ受講してみてください。
③ 手ブレ補正の有無ですが、手ブレ補正はぶっちゃけ無くてもOKです。
もちろんあるに越したことはないのですが、野球の撮影時は選手たちの動きをピタッと写真におさめるため、「シャッタースピード」というものを高速に設定して撮影します。
シャッタースピードを高速にして撮影する場合、手ブレのリスクは低くなります。なので、わざわざ高いお金を出して手ブレ補正機能付きのレンズを選ぶ必要はありません。
ちなみに、「シャッタースピード」という言葉については、こちらの記事で解説してます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。野球の感動的なシーンを写真におさめるために、カメラのレンズ選びの大事なポイントを解説しました。
ここで書いたポイントをもとに、おすすめの野球撮影レンズをいくつか紹介したかったのですが、長くなってしまったので別の記事で紹介しますね(笑)。近日公開するのでそちらも参考に。
今回解説したポイントを参考に、ぜひあなたに合ったレンズを探してみてください!
ではでは♪