LABO. NOTE 〜スポーツ写真屋さんの研究記録〜

野球を美しく撮影する“シャッタースピード”のお話

野球のプレーを一眼カメラで
かっこよく、そして美しく
写真で残すには、

“シャッタースピード”
の設定がとても重要です。


今回の記事では
野球の撮影を題材とし、

・そもそも
 “シャッタースピード”とは何か?

・野球の撮影における
 シャッタースピードの設定方法

を、カメラ初心者さん向けに
解説していきます。


野球などのスポーツ撮影をしたくて
カメラデビューしたものの….

一眼カメラを買ったのに、なんだか平凡な写真しか撮れなくて…。

設定方法がよく分からなくて、撮影モードはいつも“オートモード”…。

こんな状態の初心者さん、
結構多いですよね!


今回のテーマである
シャッタースピード”は
スポーツ撮影において重要な要素。

安心してください。
今回の記事を最後まで
読んでいただければ
必ず理解できます。

今回の無料記事を読んで
シャッタースピードのことを
覚えてしまえば、
野球写真の表現の幅が広がり
野球を撮るのが楽しくなるはず!


↓この記事の結論だけ知りたい方はこちら↓

・シャッタースピード
 1/1,000秒 前後
が野球撮影においてGood!

・より速くすると
「幻想的な表現」ができる

・より遅くすると
「躍動感のある表現」ができる

ぜひここで一緒に勉強して、
スポーツ写真を楽しむための
知識と技を身につけましょう♪

↓この記事の執筆者はこの人↓

スポーツカメラマン・写真講師として活動しています、りょーすけです。

活動を通して得た知識が、皆さんの役に立てば幸いです!

“シャッタースピードってなに?” その基本を理解しよう

結論から言うと、
シャッタースピードとは

カメラに光を取り込む時間の“長さ”


のことです。



これだけでピンとくる方は
少ないかと思うので、

デジタルカメラの仕組みを
おさらいしながら
説明しますね。



まず、カメラの中には
「撮像素子」と呼ばれる
写真を作り出すセンサーが入っています。
(以下、“センサー”と呼びます)


このセンサーが
レンズを通してカメラに入ってくる「光」を
読み込むことで
デジタル写真がつくられます。




では次にシャッターのお話。
シャッターは、今お話したセンサーの
前(被写体側)にある“カーテン”のようなもの。


通常、シャッターは閉まっていて
撮影ボタン(シャッターボタン)を押すと
シャッターが瞬間的に開きます。



ちなみに、写真を撮る時に聞こえる
「カシャッ」という音は
シャッターが瞬間的に
開閉したことで生じる作動音
です。


シャッターが開いている一瞬の間に
入ってくる光だけがセンサーに取り込まれ、
取り込まれた光の色・量の情報から
デジタル写真がつくられます。


これがデジタルカメラの基本的な仕組みです。



では本題の
“シャッタースピードとは?”のお話。

写真を撮る時にシャッターが「瞬間的に開く」
ということを説明しましたが、

“実際何秒間くらいシャッター開けて撮りましょか?”


という設定項目を
「シャッタースピード」と呼ぶのです。


“瞬間的に開く” と説明しましたが
どれくらい一瞬なのか、を表すのがシャッタースピードで
この速さは、カメラを使う人が
自分好みに設定できます。

設定の仕方によって写真の出来栄えを
調整することができるんですね。



シャッタースピードの仕組みが
理解できたところで、
次は実際の設定方法を学んでいきましょう!




シャッタースピードの設定方法

シャッタースピードを
自分好みに設定するには
カメラの撮影モードを
「シャッタースピード優先モード」
変えてあげましょう。


一眼カメラには
撮影モードを選択する
ダイヤルがあります。

ソニーのミラーレス一眼カメラを例に
説明しますと、
撮影モード選択のダイヤルを
「S」にすると、

シャッタースピードを自分好みに
設定できる撮影モード
(シャッタースピード優先モード)

に変更できます。



このモードに変更したら、
次は液晶画面横にある
もう1つのダイヤルを回します。

すると、液晶画面左下の数字
(シャッタースピードの値)
が変わります。



撮影シーンに合わせて
この手順でシャッタスピードを変えると
写真の表現を変えることができます。

ちなみにシャッタースピード優先モードは
カメラのメーカーによって
表示が異なります。

たとえば、キヤノンのカメラの場合は
シャッタースピード優先モードが
「S」ではなく、
「Tv」という表記になっています。



シャッタースピード優先モードが
無い一眼カメラは存在しません。

なので、

“私のカメラ、
「S」も「Tv」も見当たらない!”

という場合は、
カメラの取扱説明書で
シャッタースピードの設定方法を
確認してみてください。




野球の撮影におけるシャッタースピードの設定は?

ここまで、シャッタースピードの
仕組み、および設定方法を解説しました。

では次にこのブログの本題、

「野球を美しく、かっこよく撮影するための
シャッタースピードとは?」についてお話します。


野球の撮影では、
どんなシーンも大体綺麗に撮れる
シャッタスピードの「スタンダード」
みたいなものがあります。

まずはその設定を
作例を出しながら解説していきます。


ちなみに、野球の写真の
美しさ・カッコ良さは
(風景やポートレートもそうですが)
人それぞれ感じ方が違いますし
「これじゃないとダメ」という
正解的なものは無いと思っています。

なので、
野球のこんなシーン・プレーが
シャッタースピードを変えると
こんな感じで撮れるよ!という
参考として見ていただけると嬉しいです♪


基本は『 1/1000秒 』

野球のプレーを静止画で撮影する時の
シャッタースピードは

『1/1000秒』

がおすすめです。

おすすめする理由としては、
野球をプレーする選手の動きの
“メリハリ”をリアルに表現できるから。

実際に1/1000秒で撮った
野球の写真を見てみましょう。
例えば、こちらはピッチャーの写真。

シャッタースピード 1/1000秒で撮影した右投げ投手


ボールを投げる瞬間を
しっかり写真として切り取られています。

かつ、この投げる動作の中で
“特に動きの速い部位”である

・振り抜かれた右腕
・放たれたボール

これらが適度にブレて写ってくれるので
実際の動きの速さが観る人に伝わりやすいです。



このように動作のメリハリが現れている写真は
プレーシーンをリアルに表現された
良い写真といえます。

なので、まずは野球の撮影は
このような写し方をしやすい
1/1000秒で撮ってみてください♪



ちなみにこの1/1000秒というスピード、
写真撮影の中では
かなり速い部類です。

景色や人物の撮影においては
1/200秒くらいのシャッタスピードが使われます。

スポーツの撮影、特に
野球のような非常に速い動きのある競技では
1/1000秒クラスの速いスピードが
ちょうどいいんですね。




[応用編①]速いシャッタースピードで幻想的に撮る

1/1000秒のシャタースピードがおすすめ
というお話をしたばかりですが、
これより速いスピードで撮るのも良いです。

より速いシャッタースピードで撮ると
同じ野球のプレーでも
印象の違った表現ができます。

例えばこちらの写真
(先ほどと同じ投手です)は、
1/3200秒という
さらに高速のシャッタースピードで撮影しています。

シャッタースピード 1/3200秒で撮影した右投げ投手


1/1000秒で撮影した時はブレていた
腕やボールの動きまでが
ピタッと止まっています。

このように
高速のシャッタースピードを使うことで
同じような野球のピッチングシーンでも
まるで時間が止まったような
幻想的な印象の写真
になります。



1/1000秒で撮影しながら、
たまにこのような高速な
シャッタースピードを使ってみることで
同じ野球のプレーでも
一味違った表現ができます。

こんな感じで表現のパターンが増えてくると、
「次はこんな感じで撮ってみよう」と
色々試したくなってきて、
野球を撮るのが楽しくなってきますね♪





[応用編②] これできたら上級者!?あえて遅くして躍動感アップ

シャッタスピードを
今度は「わざと遅くするパターン」について。

シャッタースピードを遅くするのは
難易度が上がるのですが
この撮り方ができるようになったら
あなたも上級者の仲間入りかもしれません。

シャッタースピードを遅くすると
今度は今までと逆に
腕の振りやボールなど
速く動く部位の残像(ブレ感)が強調されます。

ブレ感を強調することによって、
プレーの“躍動感”がグッと上がり
魅力的な写真が出来上がります。


例えばこの投手の写真。
1枚目は1/1000秒、
2枚目は1枚目より10倍も遅い、
“1/100秒”というシャッタースピードで
撮影したものです。
シャッタースピード 1/1000秒で撮影した右投手


シャッタースピード 1/100秒で撮影した右投手


1/100秒で撮影した2枚目は
腕とボールの残像がくっきりと残っており
腕の振りの速さ、ボールのスピード感が
写真を見た人に
より伝わりやすい写真になります。



こういった表現も面白いですよね。



ここで注意点を1つご紹介。
この撮影方法は難易度が高い
というお話をしました。

その理由は、
ブレすぎることで写真自体が
失敗作になってしまう可能性が高い
から。


シャッタースピードを遅くすると
野球の動作の残像を強調しやすくなります。

その反面、例えば顔の表情など
ブレてほしくないところまで
ブレてしまう可能性が高くなります。


それに加えて、撮影している時の
手ブレの影響も写真に現れやすいです。

なので、
シャッタースピードを遅くして撮る時には
「ブレの影響が出やすい設定になっている」
ということを意識した上で撮影に臨みましょう。
意識するだけで、ブレで失敗する可能性は
結構抑えられます。
失敗を恐れず試してみましょう♪




まとめ

今回は野球のプレーを写真撮影する時の
シャッタースピードについて解説しました。

結論としては、

・1/1000秒前後が
野球のプレーをリアルに撮れる
ベストなシャッタースピード

・より速くすると
「幻想的な表現」ができる

・より遅くすると
「躍動感のある表現」ができる



今回紹介したシャッタースピードを参考に
ぜひたくさん、野球の撮影をしてみてください。

プレーのスピードや距離感によっては
もっと良いシャッタスピードの設定値が
見つかるかもしれません。

今回紹介したシャッタースピードを軸に
いろんなパターンを試してみてください♪

最後に、私がカメラの技術を
指導させていただく際に
お伝えしている言葉です。

撮り方に失敗しても
カメラは壊れません。
あなたのセンスが疑われることもないですし
誰にも迷惑はかかりません。

なので、野球場に足を運んで
たくさん撮ってください。

そして、たくさんの人に
観てもらってください。

それを続ければ、
勝手にカメラは上達します。

ぜひ、上達する過程を楽しみながら
野球の撮影(その他のスポーツでもいいです♪)
たくさん実践してみて下さいね!

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